五輪塔と板塔婆

 

五輪塔と板塔婆

■江戸時代頃を中心に、仏教の影響を受けた武家の墓石には墓上に仏塔を据える風潮が生み出されました。仏塔自体が、釈尊の遺骨を収めたものであるため、その容器である仏舎利(釈迦の遺骨)瓶の形態から発展した五輪塔が火葬墓の原型となっています。現在では、棹石のほかに五輪塔を建てることが多くなっています。

◆五輪は、それぞれ古代インドの宇宙観にもとづき、人が死ねば、この世のすべてを構成すると考えられている五大要素(地・水・火・風・空)に還元されるという意味で、これによって死者を供養するという考えの象徴です。

◆後世になって、五輪塔を木の板で模したものが、卒塔婆(ソトバ)です。卒塔婆とは、遺骨を埋葬するときや年忌法要などのときに、お墓の後ろにたてる細長い板のことです。卒塔婆は、古代インドの梵語である「ストゥーパ(仏舎利塔)」の音を漢字に置き換えたものです。卒塔婆を略して塔婆(トウバ)や板塔婆とも呼びます。

◆日本では卒塔婆というと、長さ1~2mほどの「板塔婆」を指します。先端を塔の形にし、上の方には、仏教の宇宙観を表す五大要素、空・風・火・水・地をシンボル化した宝珠・半円・三角・円・方を刻み込んでいます。

◆戒名を、その五大要素を表す刻みの下に書き入れます。裏面には、「バン」というサンスクリット文字および起塔日、施主名を書き込みます。

◆塔婆は、葬儀や法事、春秋の彼岸、お盆、施餓鬼会などで供養として立てられます。死者の名(戒名)を書写 し、礼拝の対象とするのです。

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